なぜ俺が「けいおん!」の('△')を素直に楽しめないかについて
少し前に、はてブの「人気エントリー」に載っていた↓のエントリを読んでいて、なんか自分も「けいおん!」について思っていた事を書きたくなってきたので書いてみます。
(といっても、言及する作品が「けいおん!」というだけで、リンク先のエントリで扱われている要素とはまったく関係なさそうなハナシですがw)
なぜ俺が「けいおん!」を素直に楽しめないかについて 思考錯誤
●「けいおん!」のあの部分がワタシを「不安定」にさせる…!
「けいおん!」
アニメ系サイトでのニュースとかニコニコMADの増加を見るに、盛り上がってますねー。
自分は原作は読んでいませんが、アニメ化前から「面白い!」という評判をチラホラ耳にしていました。
へ〜そんなマンガあるんだなぁ…くらいに思っていた矢先に「あの京アニでアニメ化!」なんて話を聞いた感じでして。
「せっかくだしこれは一度どんな話か見てみんと!」と第1話を期待して待ってました。
で、wktkしながら録画していた第1話を見てみたんですが…
ダメだった!自分には!orz
1話のはじめ、主人公の唯が学校の職員室へ行ったあたりで思わず
「好かぁ〜んッ!」
とビックリマン2000のゼウスっぽく*1叫んでビデオを停止。
そのまま見るのをやめちゃったんですよ。
なにが「好かない」って、1話冒頭しか見ていないからもちろんストーリーとかキャラ設定とかそういうのじゃないんだ。
じゃあ何だよ?というと…
あの「前歯がチラっと見える『三角口』」がなんか好かんのですよ!
(公式サイトからそれっぽい口の時の顔を拝借)
自分でもよくわからないんですが、あのフニャッとして『△』な口の輪郭と、そこからチョコンと見えるデフォルメされた前歯に微妙〜な抵抗を感じるんです。
上手く言い表せないんですが、これをじぃっと見ていると、俗・さよなら絶望先生のトロイメライの回で奈美ちゃんの発した「不安定になる!不安定になる!」ってセリフを言いたくなります。
(2:24あたりの奈美ちゃんのような気分に)
なんかこう、ジーッと見ているうちに頭の奥のほうから違和感みたいなのがフツフツと湧いてきて
「おっ、お前はげっ歯類かなんかかい!
それになんやねん!そっ、そのハッキリせんクチの開き方!もっとこう…シャンとせぇシャンとっ!
…なっ!?うっ、<(;'A`)>ウワァァァッ!」
って…そんな恐ろしいなんてワケでもないんだけど〜、なんだかなー。
いや、もちろんマンガ・アニメにおける口のキュートな表現だっていうのはわかってるんですよ!?
●この特徴的な「△グチ」を描いているのは…?
そもそもこの「けいおん!」におけるフニャっとした△の輪郭&前歯(以降「△グチ」と呼びます)が特徴的なキャラクターデザインを行っているのは掘口悠紀子というアニメーターさんなのだそう。
「作画@wiki」によると…
ロリメーター。まだ20代ながら作画監督やキャラデなどを務め、今後の活躍が期待される若手アニメーターの一人。
子供を描く事が特に好きで、CLANNADではキャラの幼少デザインに力を注いだ。
とのこと。
youtube動画では、1:52前後の「らきすた」のつかさ、もしくは1:18前後に出てくる子供たちの口などが特に「けいおん!」で描かれている口の輪郭に近いようです。
ただこれらを見ても、さほど「けいおん!」の口に感じたような違和感はなかったんです。
実際、「けいおん!」ほど過剰にあの口が表現されている感じもしませんし。
つまり、あくまで自分の場合
「△口・前歯」という表現は、ある程度デフォルメされた(頭身の低い)キャラクターで使われていないと違和感が湧いてくる
のではないかなー、と。
上の子供たち・つかさ、両方の人間をデフォルメした頭身としては5頭身ほどの背格好。
つかさに至っては原作に沿ってデフォルメされているため、高校生であってもかなりチマっこいこの頭身です。*2
つまり、どちらも「一般的なアニメよりは強めのデフォルメがきいた頭身」のキャラなのです。
では、「けいおん!」の場合はどうかというと…
だいたい6頭身くらいでしょうか?
少なくとも、上の両者に比べるとより実際の高校生に近い背格好だと思います。
さらに、各種キャラの髪の色や形も、「らきすた」等の他作品と比べるとかなり現実に近い髪型・髪色ではないかと。
ようは「けいおん!」の各キャラデザは、デザイン担当の掘口さんが近年作画的にメインにたった作品に比べると、デフォルメの度合いが割と低いのです。*3
この背丈に髪型の、デフォルメが軽めな「けいおん!」のキャラデザ。
これに対して、件の「△グチ」の描写は逆に「けいおん!」において、youtubeの作画動画で見たアニメキャラクターと比較する限り、より過剰に・顕著になっていると思われます。
クラナドの子供・らきすたのつかさ、この両名よりも頭身が高く、デフォルメも薄い「けいおん!」のキャラデザ。
それに反して、口の輪郭と前歯の見え方のデフォルメ表現は、両名のそれよりもより強くになっていく。
このデフォルメの強さが反対方向に離れている二つの要素が、同じキャラというフィールドに混在していることと。
つまりこの「重デフォルメと軽デフォルメの混在」からくるアンバランスさが、自分を「不安定に」させるのではないか!?
と、思うのです。
同じ例として、最近のアニメでいうと「みなみけ」があります。
特に上の「おかえり」は原作・他の2期に比べて、上で言った「重デフォルメと軽デフォルメの混在」が明白に表れているんじゃないかと。*4
例によって自分は、やはり「みなみけ」も『絵柄が受け付けない…』というだけの理由でまったくノーチェックでした。
やっぱり三女(と次女)の、あの端正な顔に描かれたヘンな口をジィっと見ていると「不安定に」なりますw
●従来通りな使い方の「△グチ」は好きなんだぜ?
ここまでなんだかんだとこの「△グチ」に文句を言っていますが、とは言ってもべつに「これ自体が嫌いだ!」ってわけでもないんですよ。
キャラクターが極端にデフォルメされ、口をアングリしたりする時の「△グチ」に対しては、抵抗どころかむしろ可愛らしく思います。
顔文字で書くなら(;>△<)みたいな。
実際に描かれるとしたら
(ヘタですがw)こんなニュアンスの崩し絵とか。
結局これは「重デフォルメ×重デフォルメ」でバランスのいい組み合わせになっているから、違和感もないんでしょうね〜。
字面だけ見ると「リアルから離れている誇張表現の組み合わせには違和感がない」というのもオカシイ気もしますが、といっても私もマンガ・アニメを見慣れた世代。
そこのところの「常識」「ルール」は心得ているワケです。
ということは、自分が単に、今時のマンガ・アニメに登場している新しいデフォルメ表現に単についていけていないだけってことでしょうかねぇ…orz
まぁ古くから
「愛らしい手塚的絵柄からきた自分には、劇画の太い眉とシワは好かん!」
「リアルな大友的絵柄からきた自分には、アニメ絵のデカい目玉やツヤツヤカラフルな髪は好かん!」
という感じの「表現の否定合戦」は連綿と続いているわけですなw*5
取り立てて「こんな表現はイカン!」なんて言ってるのは、きっと器量の狭いヤツなんですよ。ヘヘン。
…うわっ!なんかタラタラと書いてきた割には、なんかすごい自分がちっぽけな人間になる結論に!?
ち、チクショー!orz
●なら「△グチ」のルーツを予想してみよっと
余談ですが、この「△グチ」みたいな表現は、マンガ・アニメのどのあたりから出てきたんでしょうかねー?
「△グチ」は極端なデフォルメ表現なので、最初に使われるとすればキャラクターを崩しがちなギャグマンガか、もしくはお子様向けマンガの中で使われ始めるハズです。
自分が思いつく限りで、この表現の源流になっていそうな作品といえば…
鴨川つばめ「マカロニほうれん荘」に登場するトシちゃんかな〜やっぱ。
トシちゃんは作品の中で、通常時は基本リアルに描かれていて、ボケるときには急に2頭身になって口がひし形(「◇」の形)になるんですよね。
憶測ですが、この「マカロニ〜」で使われた表現から「チビキャラが△グチになる可愛らしさ」を感じ取った多くの作家(主に「可愛いギャグ」を求める女性作家&少女漫画家?)が、この表現を用いることになる。
そして後年のアニメ系・萌え系作品を描く作家にも「萌え表現」のひとつとしてこの表現が着目され、デフォルメ顔に限定しない場面でも△グチを描くようになっていったのではないか…!?
なんて予想してみますw
マンガ・アニメにとっては必要不可欠な「デフォルメ表現」はこれからも様々な形のものが出てくることでしょう。
そのどれもを「可愛いもの」「面白いもの」として楽しめるなら、それは娯楽の享受者としてとても幸せなことであるハズです。
ハズですが…
やっぱり自分は少なくとも
「重デフォルメと軽デフォルメの混在」である△グチ、こればっかりはこれからも受け付けないだろうなぁ。