ボーカロイドが近づけるアマチュア楽曲カラオケ配信への道

 ニコニコでこんな動画を見つけてビックリしたので紹介。


     

【JOYSOUND】カラオケ化を考えるVOCALOIDプロデューサーの皆さんへ


 通信カラオケ機「JOYSOUND」への、自作のボーカロイド曲の配信を目指す!
 という人のための指南書的な動画です。
 
 (もちろんボーカロイド曲だけではなく、東方のような同人ソング全般、評価されれば配信が実現するようですね。)


「JOY」といえば同種の「DAM」「UGA」に並ぶメジャーな通信カラオケ機シリーズのひとつ*1なので、そこに自作の楽曲が配信されるのってスゴいことだと思います。

 インディーズバンドの楽曲などもカラオケに配信されたりしていてこの例に入るでしょうが、DTMというPCの手軽さで楽曲を作り、その楽曲でカラオケという公の発表の場を目指せるというのは時代を感じますね。


 

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 自分はあまりミクやその他ボーカロイドのファンではないのですが、「ミクのブームがこういった活動まで引き起こすことになるとは!」と外野者ながら素直に驚きました。


 動画を見る限りでは、少なくともネット環境さえあれば会社へ出向いたりデモテープを郵送といったアナログな方法を通さずにカラオケ配信が目指せるように思います。

 (ただ、同じ要領で東方のカラオケ化を目指す人が上げた動画によると直接会う場合もあるようで、そこらへんは曖昧?)


 なにはともより、「アマチュア作品の内輪的人気(ニコニコなど)→公の場への発表」へつながる事が明確かつ手軽になった事は、サブカル文化を愛する人間にとってはワクワクが止まりません。

 巷ではJ−POPへの関心が薄れているなどといった話題をチラホラ聞いたりしますが、このようにネットを通して良質なアマチュア作品がどんどん世の中へ発信されるようになれば音楽というジャンルに新たな盛り上がりが見えると思います。

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 ただこういった事で必ず議論になるのは、企業を相手にする上で避けられないおカネにまつわる事。


 今回の場合、曲の権利者とジョイサウンド側との交渉によっては、権利者に利益が出る場合もあるようです。

 しかしそこは「お金よりなにより、カラオケという場で広く楽しまれて欲しい!」というアマチュアリズムや「金銭的な授受の環境設定が面倒」という点から、無償提供という形になるのが基本のようです。

 企業側にとっても配信までに色々と手間がかかるよりは無償提供でスンナリと手続きが済む楽曲提供者を優先してしまうものだと思いますし、それも含めた上でクリエイターの大半は利益を求めないのではないかと思います。


 そして上に書いたように、こういった話は得てしてそのファンの中で(今回の場合ミク・東方ファンが主)物議を醸すものです。

「良質な作品には正当な対価が支払われるべき」「アマチュア側が弱い立場にある状況が通例になって、企業側のアマチュアに対する不当な扱いが正当化される」といった意見は至極もっとも。


 しかし企業側も利益が出ないことをわざわざ手間と費用をかけてやりませんし、企業の儲けたいという願望から、今回のようなアマチュア作品の発信につながるのも事実だと思います。


 またインディーズバンドなどの完全自作の曲・ボーカルの場合は違い、ニコニコでブームになっている今回のような「ミク」や「東方」といったコンテンツは元々のツールや原作があるからこれまた厄介。

 これらのコンテンツは、たとえ曲自体は自分で生み出した良質なものでも「ミクで歌ったから人気が出た」「東方キャラのイメージソングだから人気が出た」という面は否めません。

 イヤな言い方をすれば、それで人気が出たとしても、それは他人のフンドシで相撲をとっているんじゃないの?と言われても仕方がないかもしれない。

 今回の場合その楽曲の知名度によって配信が決まるため、果たして原作のおかげで知名度が高まった楽曲に、その作者だけがスンナリ利益を受け取るのはどうなんだ?
 とも思うのです。

 ファンにもそういった楽曲提供で利益を得たクリエイターに「俺が大好きなミクや東方プロジェクトを金儲けの道具にしてやがる!」と感じる人も一定数いるでしょう。


 こういったことは、「自分の作品で楽しんでもらいたい」というクリエイターの希望と「良い作品を利用して自社利益につなげたい」という企業の思惑が絡み合うので、第三者である視聴者にはなんとも言いがたいことですね。


 ただジョイサウンドはこういった事象が増えてきたことから、楽曲提供者が利益を受け取りやすくなるシステムを積極的に考えているという話もあります。

 こういったアマチュア側へ間口の広いシステムの開発に努力しているジョイサウンド(本社エクシング)の企業努力は、大いに評価されるべきだと思います。

 企業とアマチュアクリエイター、相互がうまく作用しあってよりよい文化発展につながることを期待したいです。

*1:他動画のタグによると業界シェア第3位とのこと