劇場版「ヤッターマン」のお約束再現とそれを叶えるビジュアルに感動

 友人たちと「映画でも見にいこーぜ」って事になって、それならオタである全員が楽しめるだろうということで劇場版「ヤッターマンを観に行きました。

 ネットで「今度の実写ヤッターマンの出来は良いぞ!」「DBエボリューションよりこっちだ!」という前評判も聞いていてけっこう期待してました。
 
 その評判どおり、「ヤッターマン」という『原作』…というより歴代タイムボカンシリーズという『ジャンル』の実写化としてのクオリティの高さがありとても面白かったです。

 (以下、けっこうネタバレ


●これでもか!と挿入される「お約束」

 ストーリーの全体を通して、ヤッターマンの中のたくさんの「お約束」が再現されている事に驚きました。


 ドロンボーなら、一味の自爆*1・三人乗り自転車で敗走しドクロベエ様からのオシオキ・インチキ商売とそれに喜んで大金をはたいちゃう街の人々・二度目のメカを作るときにEDを歌いながら作る・「ポチッとな」・おだてブタ・etc…
 ヤッターマンなら、インチキ商売をオモッチャマが見つける・ヤッターワンを駆ってOPどおり道路にハイウェイに海上に…果ては地球の球体の上を走って遠い外国へひとっ走り*2・メカの素を使った時の「説明しよう!」のナレーション・etc…
 その他、最終決戦のゾロメカ戦での出世魚についてのタメになる解説・戦いに巻き込まれたゲストキャラとは「さようならー」で別れる・作品のシメは夕日へ向かってナレーションの口上と共に去っていく…

 などなど、TVアニメシリーズでしかありえない「リアルじゃなさ」のあるお約束でさえもキッチリと入っています。 
 そしてそれが実写の映像で見た際にも全くムリヤリ感もなく、素直に楽しめました。


●アニメの「お約束」が出来るビジュアルの下地

 「お約束」を素直に楽しめるのは自分自身がそれなりに「ヤッターマンのお約束」を前もって知っていたのが大きいでしょう。
 しかしそれと同時に、この映画での原作テイストを上手く実写になおした、全体的なビジュアルがあってそれを可能にしているのだと思います。


・ツノコネタと駄洒落がいっぱい含まれた街中の看板や名所の背景美術
・いたるところにポップなドクロマークが散りばめられたドロンボー一味のアジトやインチキ商売の店舗
・原作に限りなく忠実に、しかして実写化に際しての違和を感じさせる部分*3が細かくリファインされたキャラクターたちの衣装。*4

 とくにボヤッキーとトンズラーに関しては生瀬勝久さんとケンコバの二人のハマり役で、「ヤッターマン*5中でもクセの強いキャラクターである二人が衣装のビジュアルと相まって、まさにアニメから出てきたような感じがしますw



●「ヤッターマン」ならもっともっと明るい恋でも良かったんじゃ!?

 とはいえ、 
 ガンちゃんとアイちゃんはもっと全体的にラブラブでもよかったんじゃないか?…とか
 原作のガンちゃんは典型的なヒーロー青年だから、実写の櫻井クンももっとハッちゃけた*6ツッコミとかして欲しかったなぁ…とか
 ドロンジョ様は小原乃梨子さんの女王様ボイスに比べて、深キョンの声には覇気がもっと欲しいなぁ!…とか
 そもそも、メロドラマ的な1号とドロンジョの関係を混ぜたシナリオはもっと他の進め方があったんじゃないか!?…とか


 なんて個人的な不満点もチラホラなきにしもあらず。

 やはり映画として恋愛に関わるシナリオでストーリーを動かさないといけないんでしょうかね…
 それならそれで、あまり影を落とさないような恋愛ストーリーで見たかったです。なんせ「ヤッターマン」なんだし!


 なんて言いつつも、アニメ原作の実写化で、ここまで原作への愛が感じられた作品は久々だと思いました!

 そういえばスタッフロールを見ていると、監修に原作の総監督である笹川ひろし*7の名前があります。
 
 原作のテイストを一番よく知っている人が、実写映画としての領分*8を侵さない、監修というポジションから調整してくれることで、丁度良いアニメテイストと実写映像のバランスが保てたのでしょう。*9

 アニメを実写化するにして、今回の「ヤッターマン」は原作への愛とバランスのとれた素晴らしい実写化映画でした。

*1:個人的にこれってゾロメカが出るヤッターマンより前作のタイムボカンのイメージが強かったんですが

*2:ここで山本正之の「ヤッターマンのうた」や、ザ・クロマニョンズの「ヤッターキング」が流れるのも気持ちいいw

*3:例えばボヤッキーとトンズラーのトンガリ鼻とブタっ鼻・おおきなデベソ

*4:なんでもリファインを手掛けたの寺田克也さんだとか!あのクールなレザー感?はテラカツだなぁw

*5:というか「タイムボカン」シリーズ?

*6:演劇的というか、大袈裟な

*7:小原乃梨子さんやたてかべ和也さんとともに映画の中で出て来た時には驚きましたww

*8:を担っている三池監督ほかスタッフ

*9:原作の監督だからといって、今までずっとアニメ監督だった人が「衝撃の実写デビュー!」となって大成功した例を聞いた事はないですしw