8/3に夏目房之介さんの特別講座へ
実はここ2日間友人との遊びで忙しくこの事を書きそびれてました。
3日前の日曜日に京都の花園大学にて、マンガ評論家の夏目房之介さんによるマンガについての特別講座がありました。
場所が近いこともあってロクな準備もせずに行きましたが、そのせいで路線を間違えたり道を間違えたりして20分ほど遅刻…orz 幸い渡されたレジュメを見た限り本題に入る前には会場に入れたので、大きな聞き漏らしはなかったと思います。
-------------------------------------------------------------------------
今回の講座の議題は「マンガと仏教」。
花園大学は仏教についての研究がさかんなのでこの題となったようです。
具体的な内容は
1.「仏教マンガ」というテーマ
2.「仏教」マンガの具体例
3.「仏教」イメージとマンガ
の三章で構成されていました。
-------------------------------------------------------------------------
○「仏教マンガ」というテーマ
この章では、仏教に限らず「特定のテーマを扱ったマンガ」といったものにはどういう形式があるのか?ということを整理するものでした。
これにはどのテーママンガでも二種類があり、仏教マンガの場合なら
A本職の坊主さんやその団体が、仏教の素晴らしさをわかりやすく伝えるためにマンガを使う場合。
Bマンガ家が仏教という概念を題材に使う場合。
に分かれるようです。
Aでは、正式な仏教徒が「マンガ」という表現を使って仏教について伝える。それ故、仏教についての正確な知識が得られるが、説教くさいものとなりドラマ性も少ないので読んで楽しい作品は生まれにくい。
Bでは、「仏教」がテーマというだけで、あとはマンガ家が自分のセンスをもって読者が読んで面白い作品を作る。それゆえドラマ性やデフォルメを用いた面白さがあるが、正確な知識を得られるとは言いがたい。
上の二つで決定的に違うトコロは、「仏教を伝える」のが目的か「仏教で楽しませる」のが目的かということでしょうね。
ですから、興味を持つきっかけにはBが明らかに効果的です。
現に「美味しんぼ」や「のだめ」などでグルメやクラシック音楽にハマる人もいるのですから。
その上でAを読んで、正確な知識をわかりやすく身につけるのが一番理想の形なのでしょう。
しかしAの作者というものは「○○は素晴らしい」ことを知っているせいか、それをそのままマンガにしたら面白いと思ってしまう。
実際は、Bのようにある程度正確性を崩してでも「面白いマンガ」というものにしないと、それを知らない読者にはハナっからそっぽを向かれるのでしょうが…。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○「仏教マンガ」の具体例
この章では、上にあげた二種類にあたるマンガの具体的な例をあげて解説しています。
・Aのマンガの具体例
田中ちかお:「悟りの話」
篠崎佳久子画:「マンガ仏教入門 仏教2500年の流れ」
どちらも、どれだけマンガ好きな人でもそうそう知る人はいない二作品でしょう。なんせ知識が淡々と語られるだけで面白くないわけですから、有名になるはずもありません。
私もレジュメの資料を見た限りではあまり面白いそうなものには見えませんでしたw
しかし、仏教知識についての正確さは確かだそうです。
・Bのマンガの具体例
手塚治虫:「ブッダ」
三宅乱上:「ぶっせん」
花輪和一:「朱雀門」
武井宏之:「仏ゾーン」
著名作家の有名な作品がずらずらとあります。(レジュメでは他にも様々な作品が挙げられていました。)
「ブッダ」は釈迦の史実的には多少間違った描写はあるにせよ、ブッダの人生がドラマチックに描かれています。
「ぶっせん」は現在の仏教界を誇張した業界ギャグものです。資料の画像にあった、宗派の違う坊主同士が皮肉で口ゲンカするシーンには思わず笑ってしまいましたw
「朱雀門」は「仏教の精神」というような曖昧で精神的なものを花輪和一が自らのセンスによってマンガで表した抽象的な作品です。
「仏ゾーン」は「シャーマンキング」の作者がマンキンの連載前に描いていた作品で、ヒーロー化させた様々な仏像が戦うというバトルものです。*1
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
○「仏教」イメージとマンガ
この章で「仏教」というものと「マンガ」というものの似通う点について考察を行って、講座が終わります。
「仏教」というものは長い歴史の中で様々な宗派・思想・人物・動向などで複雑に構築された概念であり、それらを一まとめに語るのは難しい。
また、伝わった地域や時代ごとに新しい仏教の考えかたがいくつも改変され、作られていく広い許容性・多様性・生産力を持つものだそうです。*2
その「仏教の上で」展開される多様性や生産力は、マンガという文化に対しても言える事であるそうです。
それゆえ、上にあげたBのマンガのように業界ギャグから大河ドラマまで「仏教」というテーマの二時創作で様々なジャンルの作品を生み出すことができるのでは、ということでした。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
かなり簡略で認識違いもあると思いますが、自分で整理するとこんな感じのことを学べたと思っています。
とくにマンガの多様性の広さを改めて感じたなぁ、なんて思ってます。
これを機に「聖☆お兄さん」、単行本で読んでみようかなぁ…
- 作者: 中村光
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/01/23
- メディア: コミック
- 購入: 73人 クリック: 1,671回
- この商品を含むブログ (1302件) を見る