自分が昨今の3Dロボに燃えられない理由
はてなブックマークの「注目の記事」にとりあげられていたエントリに思わず「ウンウン」とうなずいちゃったので、自分も思うところを書いてみようかなと思います。
自分もこのエントリを書いたtokigawaさんと同じく、最近の3DCGによるロボットが登場するロボットアニメはあまり見ていません。
最近でいうと「マクロスF」。第1話だけ見て「おおー戦闘シーンCGすっげー」と思いはしたんですが、やっぱり自分としてはそこに「燃え」が感じられなかったのでそれ以降の話は見ていません。
こういう作品のとらえ方って「食わず嫌い」的でしょうし後々の損になる事も多いと思うんですが、やっぱり食べた一口目が美味しくないと続かない性分なのです。
それが例え大好きなロボアニメという料理でも。
あと私はヘンに懐古主義というか、古いものを崇めるタチがあるので、そこも短絡的に手書き作画マンセー!CGイラネ!と思ってしまう原因でもあります。*1
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○3DCGでは描けない躍動感
上で挙げたエントリのなかで筆者のtokigawaさんは3DCGロボに燃えない理由を「ロボアニメの『躍動感』が表現できていない」からだと結論付けています。
この意見に私も賛成で、「躍動感」という言葉で言い表すのはナルホドと思いました。
ではなぜ手書きアニメのロボには躍動感があって、3DCGには躍動感が感じられないのか?
まず3DCGロボをアニメ内で使う最大の利点といえば何でしょう。
自分は「ロボットの動きを1コマ1コマ作画しないで済む」ことだと思います。
CGはデータなので、モデルの動きを指定すればそのとおり正確に、ロボは動きます。
その際、動作中のロボットはコマ送りで再生しても、コマごとに正確な描画が成され、アニメで言えば「ヌルヌル動く」アニメーションになるわけです。
たとえば上のエントリで引用されていた新作アニメ「鉄のラインバレル」の予告、開始36秒くらいからのロボットのアクションを見てください。
3Dロボのアクションは
「銃を持った片手を振り上げる→振り下ろして狙いを定める」
というものです。
対して手描きの場合全体のロボアクションの「ヌルヌル」加減は、秒間の作画量に依存します。
「振り上げる→振り下ろす」の動作に、どれほどの枚数の絵を用いるかによってその動作の細かさが決まるわけです。
手描きアニメとの比較として「ガンダムSEEDディスティニー」のOP、開始9秒あたりのアクションを見てください。
*(自分の環境ではyoutubeがつながらないので、同じく見れない方でニコニコを見れる方はこちら)
アングルや角度は異なっていますが、上の3Dロボと同じ意思を持った腕の動作をしていると思います。
この「ガンダム」と「ラインバレル」、二つの動きを見た場合どちらが躍動感に溢れているように見えるでしょうか?
この躍動感の差はどうして生まれるのか?
腕を振り上げ、下げる間の両者の腕の動きは
・3DCG 「振り上げ→下げるまでの間1コマ1コマ正確に描写されている」
・手描き 「いっぱいまで振り上げたポーズで静止→その間はほぼ作画されない→いきなり腕が振り下がる」
というようになっていると思います。
棒人間でコマごとに例えると…
(上の列はCG下の列は手描きの場合です。ヘタでスミマセン)
腕の動作がコマごとにキッチリ描かれているのはCGの方ですが、手描きのほうは上げ・下げ間の動作枚数が少なく、かなり簡略化されています。
この「バッ、バッ」という簡略化が、CGの正確な動きでは出せないメリハリを生んでいるのです。
また腕を振り上げるときガンダムは、通常ロボットではありえないほど胴回りを上にググッとしならせ、左足も人間がやるにも難しく思える曲げ方をしていて、力の込め具合を感じさせます。
結局のところ、手描きアニメのロボットは機械であって機械でないものだと言えるでしょう。*3
この「機械ではありえないポーズ=CGを正確に動かすだけでは出来ないポーズ」も、手描きアニメ特有の躍動感を生み出すのです。
その他にも過去数十年積み重ねられてきた様々な「アニメ」技術が1シーン1シーンのアクションの躍動感を構成しているのでしょう。
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○手描きの「アニメ的」CGの「リアルっぽい」
先ほどまでは自分なりに「手描きだから出せる味」について考え直してみたのですが、逆に自分の中で「これはCGでないと面白くなかっただろう」と思うロボットアニメがあります。
それは「トランスフォーマー ビーストウォーズ」シリーズです。
「ビーストウォーズ」は登場するロボットは日本の巨大ロボットのように全長が大きいわけでもないし、ロボ自体が意思を持っています。
さらに変形前の姿は様々な動物の姿ですし、戦闘時の姿も生物っぽさも多く感じられる姿に見えるのです。
その姿にさらに声優さんの喋りもあいまって、ビーストウォーズのロボたちは限りなく人間臭いロボに見えるのです。
そんな彼らがヌルヌルと3DCGで動く様子は、大胆なアクションシーンでも非常にリアルで生き生きとしたものに見えます。
手描きアニメは簡略やありえない動きといったリアルに対する「ウソ」で、独特の躍動感を出しています。
これによりアニメ的で派手なアクションを楽しめるのですが、そこに「リアルさ」があるかと言えば決してそうではないでしょう。
逆にビーストウォーズではロボットたちが限りなくリアルな動作をしていて、画面の中に「ビーストウォーズの世界」があるようにすら感じてしまいます。
このリアルさを手描きアニメで表現するとしたら途方もない作画量と作画技術が必要でしょう。
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○「リアル」な3DCGロボが活きる環境
上で「3DCGの魅力はリアルなところ」という事を確認したのですが、昨今の3DCGロボのアニメを自分には楽しめない最大の理由がそこにあると思うのです。
今回楽しめないとしているアニメは「キャラクターが中心のシーンは手描き」「ロボが登場するシーンは3DCGで描く」という手法がとられているものです。
つまり「リアルでないこその魅力」と「リアルだからこその魅力」が同時に存在する作品。
これらの作品の3Dロボを魅力的に見えなくする原因は、手描きと3Dが混在しているからだと思うのです。
もしこれらの作品において、手描きであるキャラクターが3Dで描かれていたらどうでしょう。
「リアルな動きをするキャラクター*4」が「リアルな動きをするロボット」を動かしているので、そこに違和感は生じず、その作品は「リアルなロボットアニメ」として楽しめるのではないでしょうか。
この場合「ガンダム MS IGLOO」などがあげられるでしょう。
どのMSもヌルヌル動いていますが、同時にパイロットたちもヌルヌル動いているリアルな世界がそこに広がっています。
もしここで描かれるパイロットたちが手描きアニメであったら、同じようにリアルなタッチで描いたとしても違和感が生じ、アクションシーンの魅力が半減すると思うのです。
2Dと2D、3Dと3Dであるほうが楽しい作品に仕上がるではないでしょうか。
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見返してみると冗長で構成もバラバラな感じの文章でしたが、どうでしょうか?
正直棒人間の解説とか、いらなかったかなぁ…「伝えたい欲」が空回りですorz
またCGでどこまでの事が出来るのかは私自身まだまだ知らないことだらけですし、「2D×3D」の良質なアニメをまだ見ていないこともあって間違いが多いかもしれません。(訂正など入れてくださったらありがたいです。)
しかしあくまで自分はここで書いたような思考から、昨今のロボアニメを避けてしまいます。
ここらへんの作品を見るたび思うのですが、果たして昨今の3DCG導入のロボアニメは、ロボの魅力を引き出すために3DCGを用いているのでしょうか?
私には「ロボアニメ作りたいけど、ロボは3Dの方が作画しんどくなくていいんじゃ〜ん?」って感じで、作業簡略のためだけに3DCGを持ち出しているようにしか思えないのです。
「他は2Dでも、ロボットは3Dで描くことに意味のあるロボアニメ」なら、きっとその作品は「2D×3D」でも面白いものになるのでしょうが…
しかしの「アイマス」や「タイムリープ」などの3Dキャラクター技術をみると、アニメ的な3Dキャラが3Dロボを動かすハイクオリティなアニメがたくさん生まれそうですし、3Dアニメーションの発展にはメチャ期待しちゃいます。