眼鏡ってこんなに素晴らしいんだ!「彼女は眼鏡HOLIC」

 以前から通うようになった図書館にて、その表紙を見た瞬間「この場にあっていいのかよ!」という思いが走った*1一冊の本。

 それがHJ文庫の「彼女は眼鏡HOLIC」(作:上栖綴人)というライトノベル


彼女は眼鏡HOLIC (HJ文庫)

彼女は眼鏡HOLIC (HJ文庫)


 「あどけない子供の理性を脅かす太ももムッチリイラスト…許せるッ!」

 ということで(?)早速借りて読んじゃいました。

                                                                      • -

 この作品、一言でいうなら「眼鏡賛歌」ではないかと思います!
 ジョジョのテーマが「人間賛歌」なら、この作品はまさしく「眼鏡賛歌」ってカンジ。


 まずプロローグの

…――ねぇ、憶えてる?
はじめて眼鏡を掛けた時の事を。

 
 という一節から始まるように、この作品にはとめどない「眼鏡への思い」が全体に貫かれています。


 眼鏡に関する豆知識・こぼれ話・扱い方などはモチロン、なにより「眼鏡をかけること」それ自体の喜び・素晴らしさが作中で語られます。

 特に眼鏡への思いを語るシーンで綴られる文章は決してギャグやネタではなく、眼鏡をかけた事がある人全てが共感できる素晴らしいものです。


 たとえば主人公が親友となったヒロインの眼鏡を手入れしてかけてあげるシーン。
 
 完璧に手入れされた眼鏡によって、普段の日常が見違えるほど美しく鮮明に見えることに驚くヒロインの様子が、驚くほど的確に描写されています。

 これには思わず、自分が初めて眼鏡をかけたときの感動を思い出してしまいましたw


 ただ「眼鏡っ娘萌え」というだけで眼鏡愛に満ちた文章は書けないでしょう…

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 具体的なストーリーは「眼鏡を使った超能力を駆使するエージェントの女の子が、怪事件の起こる学校へ生徒として潜入しつつ解決を目指す」というもの。


 学校へ潜入するので、いわゆる学園ドラマなテイストも含まれているのですが、ここらへんのパートもイイ感じです。

 知り合いとなったヒロインが背負ったツラい過去や、それを知った時の主人公の思いとか、エージェントと一般人という相容れない二人の関係とか…

 これらの描写には思わずグッときたりも。



 対してバトルパートなのですが、これに関してはちょっと「うーん」と感じる部分も。


 たしかに肉弾戦での理論的な戦闘描写は、鮮明なイメージを頭の中に思い浮かばせてけっこう迫力があります。

 しかし一方で、エージェントたちが駆使する特殊能力は他のアクションものにありきたりな能力で、新鮮味がないなという感じも…

 主人公にいたっては直接眼鏡と関係しなさそうな特殊能力*2もバンバン繰り出すことが出来て「なんでもアリじゃん!」と思ってしまいました。


 もちろんストーリーのラストは「主人公×眼鏡×ヒロイン」という関係ならではの逆転の一撃で物語が終結します。

 しかし、せっかく全篇を通して「眼鏡への思い」を語ってきたのだから、その前にももう少し「眼鏡ならでは」の能力によるアクション・謎解きが欲しかった…


 物語は「まだまだ序章」という感じで終わりましたし、これからもシリーズ化していくと思うので、次回作にはもっと独自の「眼鏡パワー」を期待しちゃいます。

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 最後は批判な文章になりましたが、眼鏡をかけたことのある人なら必ず楽しめると思いますし、かけたことのない人でも友情・バトル・サスペンスなどがイイ感じにまとまってて面白いと思います。


 なによりコレを読んだ人はみんな眼鏡に対する感情(?)が少し変わるんじゃないかと思わせる、そんな作品でした。



 *文章書いた後アマゾンの商品情報を貼る過程で気付いたんですが、すでに10月1日に第二巻が発売されてたんですね!
 

 こっちも機会があれば読もうっと。

*1:CLANNADのアンソロがあるんだからいいんだろうけどね!

*2:ビーム・分身など