「ナギ非処女疑惑」から考える、「キャラにマジになる」こと。
ほほぉーん、なんだかまた面白そうな騒ぎが…。
【ネタバレ】かんなぎのナギの中古(非処女)疑惑で2ch各スレ大混乱 - ゴールデンタイムズ
「かんなぎ」は一切ノータッチ*1だったので、コトの真偽とか、伏線から予想出来たか否か…という事に関してはなんとも言えないんですが、それにしてもオタク文化の中のこういう現象って興味深いものです。
こういうのを目にする度によく言われる「たかがマンガのキャラクターに…」というのもモチロン当然の感想。
ただそんなことわかっていても、架空のキャラに対して本気(マジ)で感情移入して応援し愛する事もあれば、その信じていたキャラの裏切り*2に、恨み罵倒し絶望することもしてしまう…
こういうことって、ある意味すごく人間として高尚というか、「人間って面白!!」*3なことだと思うのです。
今回の騒動を見て、
「なんかこれと似たような事件が過去にあって、それについて誰かが解説をしていたよーな?」
と思ったんですが、しばらく考えた後、
- 作者: 本田透
- 出版社/メーカー: 三才ブックス
- 発売日: 2005/03/12
- メディア: 単行本
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…と思い出したので、早速図書館から本を借りて参照。
本の中で本田透氏は、「ヒロイン、実は非処女」な展開に怒るオタクたちの心情について次のように解説しています。
「我々は処女膜1枚にこだわっているのではない。オタクは、金や欲得から解放された純粋な愛、永遠の愛、そういうものを求めているわけなのだ。」
「美奈ちゃん*4のように、きちんと内面に心があって、葛藤があって、トラウマがあって…という人間らしい女の子であれば、むしろ非処女属性は強烈な萌え要素となる!」
なるほどー。
「下級生2」のようないわゆるネトラレ展開のある物語は体験した事がないので、この怒りの心境はどういうものか実感がわからなかったのですが、処女設定の重要性みたいなのはこういった背景から湧き上がるということなんでしょうね。
ただ、本田透氏の「非処女」ヒロインの解説はエロゲー作品のキャラを用いていますが、今回の場合は今の時点で月刊誌「REX」で連載中の作品での騒ぎ。
エロゲーはそのゲームの中で物語は完結するので、そのヒロインが「(処女性を求めるオタク的に)恨まられて然るべきキャラクター」であることの評価はすぐに成されます。
それに対して「かんなぎ」はただ今連載中。
これからの展開によっては、さきほどの同書でまた本田氏が言う「たまき(=ヒロイン)をめぐる巡る戦い・争い、そして愛の勝利!」のような、一度は失望したオタク達のナギへの評価が回復する方向にこれから向かうのかも知れませんね。
…もしかして、「ナギの評価回復」展開という救済を信じたい読者を作ってガッチリ引き寄せるために、今回のような展開を持って行ったなんてことは…ないか。
思えば「あしたのジョー」の力石が死んだとき、当時のファンは葬式をリアルで催しました。
弔うことと絶望すること、感情のベクトルは正反対でも、「架空のキャラにマジになる」という根底はどちらも同じでしょう。
もしかしたら、様々な宗教における「神」の描写・史実をめぐる議論や対立(最近で言えばムハンマドの風刺画事件とか)なんかも、今回のこととある意味つながる感じもしますね。*5
なんだかんだ言っても、「架空の人物にマジになって」いる事って世界人口規模でよくあることなのかも。