昭和アニメ黎明期の脚本家たちがスゴかった。(アニメ夜話番外編)

 某ネット活用雑誌で知った動画サービスサイトが便利でけっこう使い始めています。

Veoh30分以上動画を完全視聴&ダウンロード

 海外動画サービスサイトのveohのほか様々な動画共有サイトの動画検索が出来て、なおかつ分割された長時間の動画を最初のクリックひとつで最後まで通して見られるというモノ。

 私が使っているPCではveohほか、海外サイトのページによってはけっこう重くなってしまうので、それを回避して動画だけを再生出来るのもありがたいところですw


 とりあえず「BSアニメ夜話」なんて検索してみたんですが、けっこうヒットして驚き。

Searching Videos for "anime yawa" | Veoh (こちらは本家での検索結果)*1


 例えばyoutubeなら「アニメ夜話」のめぼしい動画といえば、ガンダムエヴァの回か、番組の1コーナー「氷川竜介のアニメマエストロ」の抜粋動画などがヒットしますが、veohだとそれ以外の様々な回が多く投稿されているようです。



 2・3作品だけ見たんですが、特に興味深かったのがこの動画。

http://www.veoh.com/browse/videos/category/anime/watch/v16982261N6yJbDha#

 アニメ夜話番外編「アニメの時間よ 永遠に 〜辻真先 1500本のテレビアニメ〜」』というもの。

 番外編ということで、作品単体ではなく昭和アニメブーム時に多くのアニメの脚本を手掛けた脚本家・作家の辻真先さんと、その時代の脚本家についてスポットをあてた回です。
 
 いろんなメディアでアニメの話題を取り上げる時でも、監督であるとか作画スタッフとも違って脚本スタッフという役職の話って聞いた事が少なかったし、1時間通して番組で見れるというのも数少ないと思います。



 まず「アトム」での「原作マンガのエピソードが早くも尽き、手塚マンガに詳しい辻さんが抜擢され、才能を見出される」ってエピソードが印象的でした。
 (動画の8:00ほどのあたり)
 
 書かれた回のストーリーが自身のオリジナルでありながら、手塚治虫が描く「アトム」のエッセンスが確かに盛り込まれていて、その腕を本人にも認められるというのはスゴいなぁと。


 それと合わせて、辻さんが自ら考えた「ロボットが夢を見る」というアイデアをストーリーにしたとき、それを見た手塚治虫が「もっと奇想天外に」とその場で絵コンテに、辻さんのアイデアをより発展させたストーリーを描いていった…という話も。

 他の人の考えた「ネタ」であっても、それを素早くそしてより発展させることが可能な、手塚治虫の恐るべきイマジネーションの大きさを改めて感じるエピソードです。
 


 もう一つスゲェ!と驚いたのは、アニメアトム後に多く登場したヒーローアニメ作品で活躍した、様々な脚本家たちのエピソード。
 (動画の17:30ほどのあたり)

 当時のアニメに参加していた脚本家たちの写った集合写真が映像に流れるんですが、これがもう見て驚きましたw


 SF作品に詳しくない自分でも、名前を何度も聞いた事のある著名なSF作家がズラリと並んでいてなんとも壮観。
 当時にはこういった今での著名作家たちがアニメの現場に参加していたんだなぁ…いやー、全く知りませんでしたw


 そしてこの中で、アニメエイトマンの中で豊田有恒さんが書いた「地球ゼロアワー」というエピソードが紹介されていたんですが、その質の高い内容にも驚き。

豊田
「アラスカからICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射すると、日本までで大体20分くらいで着くんですね。
 (略)そういうのを軍事的な資料で読んでいて、これは面白いと。
 それで間違ってミサイルが試射されて東京に来ちゃう、なら番組でリアルタイムで進行できちゃうなと」

 間違って発射されたミサイルが十数分後に東京へ着弾してしまう事を知ったエイトマンが、ミサイルを打ち落とす様々な策を悪行を重ねることで遂行していき、なんとかミサイルの着弾寸前に破壊に成功する…というエピソード。

 ミサイル着弾という時間制限のなかで、「順々に出される条件を遂行していかなければならない」という更に緊迫感を刺激するストーリー展開が実に見事。

 更に終盤の着弾寸前のシーンで、更に画期的な演出が成されます。
 それは「着弾までの残り時間をテロップで表示する」というもの。

 


 例えば右上に残り時間を表示するのでいうと「エヴァンゲリオン」でイスラフェルの二体を同時に倒した「62秒でケリをつける!」な演出を思い出します。

 また、ストーリーをリアルタイムに進行させていくという手法も、米ドラマの「24-TWENTY FOUR-」で行われた手法に近いでしょう。

 白黒のTVアニメ黎明期という時代において、TVという映像媒体にしか出来ないこういった画期的な手法を既に取り入れているという…
 メチャ驚くとともに、その先見性に恐ろしさすら感じるっちゅーか。



 この番組で、アニメにおいて目を見張るストーリーを生み出す脚本家たちの手腕について初めて具体的に知る事が出来ました。
 
 それに、自分はマンガと違ってアニメでの「昭和黎明期」みたいなのは知らない事だらけでしたが、そういった時代にあっても『子供だまし』でない、むしろそこらの映画・ドラマより卓越したシナリオ作りが、既にその時代にも多く存在していたのには驚きました。

 美麗なカラーや複雑なストーリーといった、最近のアニメを見てきた現代っ子な自分にとっては、どうにも白黒といった古い時代の作品は今より様々な面で「所詮今と比べてチープなものなんじゃないの」なんて思い込みがあったりしたんですよ。

 しかしこの番組で紹介されているようなアニメのエピソードを見ていると、そんな思い込みしかしないのがとんだ間違いってのがよくわかりました。


 いやー、色々すごい話を持ってくるなぁNHKはw
 やっぱNHKのマニア向け番組のスタッフはまじッパネェっすね。

*1:上の検索サイトでは検索結果のリンクを貼れないので。多少検索結果も異なるっぽいです。