なんなら「大王」以前のあずま先生も振り返ってみる

 今日の「はてなダイアリーの人気エントリー」にあった記事に、自分が以前書いたことを思い出したのでひとつ書いてみます。

 というのは、↓の二つのエントリ。

 あずまきよひこの出した「応用問題」(前編) - 三軒茶屋 別館

 あずまきよひこの出した「応用問題」(後編) - 三軒茶屋 別館


 「ゲッサン」で連載している「あずまんが大王 補習編」の収録と、『1年生から3年生までの全3巻に再編集して』*1刊行していく予定の第1巻、あずまんが大王1年生」の書評です。

 1年生編ということですが、収録された原作のかなりの量があずま先生の今の絵柄に「描き直」されているそうで、上の前編のエントリでも

「最初のページから修正、というより「描き直し」。ある意味「リメイク」ですよね。

序盤はほぼ描き直しで、なんというか、あずまきよひこの本気とプロ魂を見た気がします。

 という感想が冒頭に。

 その後エントリでは前後編にわたって新旧「あずまんが大王」で描き直されている多くの代表的な点をあげて、画像で比較されています。




 私はまだ「1年生」は買っていないんですが、このあずまきよひこ先生の絵柄の変化…」な話題の内容を目にした時、ふと自分がこのブログで書いた記事を思い出したんですよ。

 それがこれ。

あずまんがリサイクルであずまきよひこ先生を振り返る - オハコのけっちりオタクライフ

 あぁっ!もう1年近く前の記事じゃん!しかもこのブログをやり出してかなり初期の!この頃は脚注の付け方も知らな(ry


 閑話休題
 
 上の私が書いた方のエントリはというと、中古書店あずまんがリサイクル」という単行本を買ったという報告と、その中に収録されていたあずま先生の過去作についての感想です。

あずまんがリサイクル (Dengeki comics EX)

あずまんがリサイクル (Dengeki comics EX)

 この本はどういうモノかというと、あずま先生が「大王」を連載してブレイクする以前に描いていた作品の作品集です。
 この本では、パイオニアLDCから発売された「天地無用!」「プリティサミー」「バトルアスリーテス大運動会」のアニメビデオのおまけとして執筆していたパロディマンガが主に収録されています。


 ちょうどこの本が出されたのは、発刊時期をみても

あずまんが大王」でブレイク!

マイナーだった頃の短編集を出そう!

 てな感じですね。


 そういう点だと、もしかしたら今回の「1年生」も

よつばと!」で更に一般層にまで大ブレイク!ゲッサンで「大王」も連載されるし…

出世作の「あずまんが大王」を新装しよう!

 てな感じで、あずま先生の活躍という時系列の上で前後するような位置づけの、性質の似た単行本なのかも知れません。
 (「リサイクル」は文字通り原作品をそのまま、後者は大量の描き直しがある、という違いがありますが)


 そんな「『1年生』と似てるっぽい?」という印象を今に思った「あずまんがリサイクル」。
 やはりそうなのか、三軒茶屋さんの今回のエントリと同じように、私が書いた件のエントリでも、あずまきよひこの今と昔の絵柄の差』についてちょっと触れていました

具体的には以下引用。

 そして「大王」から入った私としてこの本のなにより楽しい所が、あずま先生の今の画風と昔の画風の差を楽しむこと。

 収録作品当時の98年の絵と、この本へ2001年に書き下ろされたイラストを見比べるとかなり違っていることがわかります。


 今のあずま先生は、丸みを帯びた線やアニメ的なテカり(目や髪の大きなハイライトなど)を抑えた塗りといった、素朴で誰もが親しみやすい感じの画風と言えるでしょう。(脚注:よつばを使った絵本まで描いてますし)こうした画風は自分が思うに「大王」の中盤くらい(2000年の中ごろ?)から定まったと思います。



 対してこの本の頃の画風は当時のどちらと言えばオタク向けなアニメを題材に執筆していたこともあって、90年後期ごろのテカりの効いた塗りや細かい線が鮮やかなアニメ絵。ひどく言えば一般人には「オタクくさい」と言われそうな画風と言えます。



 今と昔で一枚絵を比べると「同じ人が描いたとは思えない!」なんてほどではないでしょうが、やはり狙う層やジャンルは大きく違ってきそうですね。

 「98年の絵と、この本へ2001年に書き下ろされたイラスト」を並べて説明していたわけですが…

 またこういう形であずま先生の「絵柄の差異」を楽しむ絶好の機会が来たというのは、いやはやなんたる偶然!  こういったエントリを書いといてよかったというか、今なんとなく嬉しいというかw


 ためしに、上の「リサイクル」絵と、三軒茶屋さんがエントリ内で引用されていた「1年生」のちよちゃんのコマを拝借して並べてみたり。

 おぉー、なんか壮観というかw
 キャラの頭身が違ったりしていますが、簡単に「THE あずまきよひこ先生・絵柄の変遷」って感じでどうでしょう。*2

 90年代当時のアニメっぽい目の大きさや描き方、髪・肌・衣服のテカっとしたハイライト、シャープな曲線などなどのいわゆる「オタクっぽい絵柄」の要素がキレイに削ぎ落とされて今に至ってます。


私の以前のエントリではやんわりと

 今と昔で一枚絵を比べると「同じ人が描いたとは思えない!」なんてほどではないでしょうが、

 なんて書いてましたが、この一番上と下ではもう、同じ人が描いたとは思えない!なんて言えちゃうかも知れませんw




 こうやって自分でもあずま先生の変遷を今一度振り返ってみて、ふと思ったんですが、当初のアニメっぽい絵柄が今のシンプルで柔らかな感じになっていった「大王」と、今の絵柄でもってこそ描かれる「よつばと!」といい、連載誌は変わらず『月刊コミック電撃大王なんですよねー。


 当初のアニメっぽい絵柄や、アニメアンソロ・パロディマンガの執筆が中心という経歴から、『「電撃大王」で「あずまんが大王」が連載されている』というので全く違和感はありません。
 萌え系メディアミックス作品が多い雑誌でのオリジナル4コマ作品…というと今の「らきすた」みたいな立ち位置ですかね。

 後々になるほど「大王」では絵柄が今のやわらかいものに変わっていきますが、あくまで「美少女キャラたちを中心にギャグ」という基本があった作品ではありました。


 これが終了して「よつばと!」になるとコンセプトも一転、よつばという純真無垢な子供の体験を見守る作品といった作品になりますが、連載誌は変わらず。

 全体的に「大王」ほどの『萌え』な感じは薄くなって、主人公のよつばも女の子ではありますが、極端にデフォルメされた絵柄もあって、萌えるという対象でもないでしょう。*3
 とーちゃんをはじめ男性キャラも多く登場しますし、彼らは「大王」で唯一メイン級の男性キャラであった木村先生のように極端にイレギュラーなキャラクターでもありませんから、*4ますます「萌えマンガ」的なのとは離れていきますね。
 
 
 「あずまんが大王」において絵柄が変わり、その絵柄に基づいたような「よつばと!」を連載している。
 
 「電撃大王」が月刊誌で、あずま先生の作品はいずれも月刊連載であるから作品1つの進行ペースが長く、たった2つの作品で絵柄や作風が変わっていく「長い期間」があったわけです。

 それでもしかし、10年ほどの長い期間同じ連載誌で描きながら、ここまで「方向性」の違う作風に変わっていくという作家さんというのは、なんだか不思議な気がします。


 「萌え」から始まって、それをさらに追求した作風なら、その作家独自の「萌え」を提示しながら同じ連載誌で続けて…
 「萌え」から始まったけど、そこから方向性が異なってくる作風になったなら、連載誌が変わったりすることが多い…
 そんな勝手なイメージがあるんですよねー。


 実際は単に長年執筆していた連載誌に続けて違う作品を発表しているのと、発表ペースがゆっくりなのとが重なっただけなのでしょうが…w
 でもやっぱ、「大王」に「よつばと!」があるのってよく考えたらふしぎふしぎーみたいな。


 いや、しかし「よつばと!」はその「大王」以前に描いた「Try!Try!Try!」があるから、それが「大王」以前にまずあって…でもまだ自分は「Try!〜」は読んだことがなくってどうにも…あぁー!


 っと、なんか自分でもよく分からないまま終わりますorzシツレイシマシタ
 

*1:ウィキペディア「あずまんが大王」から引用

*2:もちろんこの中に序ノ口譲二先生の絵があればパーフェk(ry

*3:むしろ周辺人物の風香などに萌えを見出す人が多いみたい?

*4:美少女たちにチョッカイを出す変態…というのは萌え中心のマンガではよくでてきますし