コミックLO8月号感想


 先月号の感想…身体の調子が悪いわ、書きかけの文書ファイルをなくしちまうわで結局アップできずじまいでした…orz
 そんな風にグズグズしてる間に今月号がとっくに発売されてましたので、こうなったらスパっとこっちに切り換えだ!

 というわけで、今月号こそ気になった作品の感想をば!



上田裕「路チューしたい」


 どうしても小学生の恋人と路チューしたい青年が、観覧車内での制限時間内エッチに挑戦するお話。

 「観覧車が周りきって係員に見つかる前にエッチを終える」という、なんだかリアルタイムサスペンスというか、ゲームで攻略法を考えるような、そんなちょっとヒネったストーリーになっていて、エロいと同時に面白くもあった作品w

 基本的な流れとして、Hシーン前半では、エロ描写と併行して青年の「時間制限への焦り」を語るモノローグが頻繁に画面に書かれます。


 

 まず前半の少し過剰だとも思えちゃう説明的なモノローグで、よりハッキリと「見られたらマズイ!」という青年の焦りがわかって、感情移入しちゃうんですよねー。

 例えば少女から、

「今度はわたしがおちんちんを…」
 という嬉しいセリフが出た際にも、

「有難いが、ここでフェラしてもらってる時間はない…!」
 なんて男が計算をしていたりw
 この、嬉しい提案を涙を飲んで撤退するところが、妙にリアル。読んでいるこっちもなんだか焦って来たり… 


 しかし!

 この「見られたらマズイ!」という焦りが強ければ強いほど「野外プレイ」の興奮度は増すワケで!

 特にこの作品では、少女より青年の方がメッチャ焦ります。そりゃヘタこいて下に着いて係員が見たら人生オワタになるしね!


 思い返してみると、通常「野外プレイもの」というと、女性側は「見られちゃうぅ!」と羞恥心に駆られるのに対し、攻める側の男性は大抵その状況を楽しむように割と余裕を持って構えているような描写が多いと思います。

 ですが、この作品の場合は男性の方の「焦り」が丹念に語られていているのです。

 もちろん読者としてはこの青年に感情移入するわけで、読んでいるコッチも同様に焦るように読み進めていく。


 そう、この「読者も焦る」こと!

 これがつまり、ロリコンである読者の「少女に触れることのタブー感」を刺激してやまないワケですよ!


 「マンガの青年がヤバいことしてる!」=「オレがヤバいこと*1してる!」という感覚が、もうビンビン。

 もちろんこれが、ロリコン心に興奮を更に高めるわけで…



 そしてエロシーンの後半では、青年は焦るよりも、「ヤバいことしてる…」感から来る悦びを貪り、少女もそれに応えます。
 
 前半では頻繁に出てきた「青年の計算」はページが進むにつれてなくなっていき、最後にはただ「小学生の恋人と野外プレイしてる」興奮に身を任せる展開になっていくのです。



 前半では、ヘタすりゃ少し萎えるくらい過剰に「焦り」を描写して、しっかりロリコン読者にその「ヤバさ」に感情移入させ、その焦りを徐々に悦びへの増幅装置に…

 そしてラストスパート大ゴマ2コマは余計なゴタクを並べず、タブー感で増幅させた興奮を爆発させて一気にフィニッシュ…!

 それまで少しずつ積み上げてきたタブーはこのためにあったんだね!

 あえて女の子に「人が来ちゃうかもしれないよぉ!」と言わせるのでなく、攻め役の青年の焦りを意識させるという、ヒネった作り。

 この作品で、今まで読んでて気づかなかった「野外プレイ」モノの「焦る方の快感」に気付いたような気がしますw






ろーるぱんつ 「ワフワフ!メディカルチェック!」


 保険医になった青年が、待ちに待った小学校の身体測定で女の子たちにいろいろしちゃうお話。

 リリカルというかファンシーというか、『萌え』で使われる技法とは少し違った独特の「カワイイ絵柄」が自分も大好きなろーるちゃんなんですが、今回はいつにもましてその独特な描き方が冴え渡ってるように思えます。


 特に目に止まるのが、エロいシーンからでもイキナリ場面がデフォルメになって、クスっと笑わせるようなコマの展開。

 「エロ」から「カワイイ」へ一気に転換するギャップ
 なんせその「カワイさ」がすげぇので、ギャップの幅もすごく、思わず手を止めて笑ってしまいますw


 とくにこのコマなんか、ポツネンとしつつ同時に(主に股間のせいで)異常な存在感も漂わせる先生の絵がなんともw


 ここまで来ると荒い線になっていることもあって、しりあがり寿先生とか、ああいった感じのシュールさすら感じますw
 まぁ先生の場合はギャグ成分がありますが、同じコマで崩した女の子のキャラクターはやっぱりカワイイですね〜。

 例えるなら「世界名作劇場」チック?

 昔ながらのカワイイ成分も入ってるような、素朴な可愛らしさがありますよね。



 しかしこの何度も唐突に来る、デフォルメによるエロからの「引き」

 ちゃんとしたエロシーンではキッチリ「エロい」のに、同時に崩した「カワイイ」絵も知ることで、登場する女の子達が純粋に愛くるしくてしょうがない。

 「エロい」と「カワイイ」が並列的に感じ取れる、そういった構成になっているなーと思います。
 決して「エロかわいい」じゃなくて、「エロい」と「カワイイ」がそれぞれ独立して並んでるような。


 ろーるちゃんのセンスが光るポップなトーンの使い方等もあいまって、なんと言うか…エロい「絵本」かなにかを読んでいるような、そんな不思議な読感です。




●スミヤ 「ふたりはライバル」


 仲良しだけどすぐ些細な事で小競り合っちゃう、そんな柔道なカップルのお話。


 まずなにより、着崩れた柔道着がたまらん! (高校の体育で柔道の授業があった関係で柔道着に袖を通した事があって、それのせいかもしれないけどさ!)

 
 とにもかくにも、柔道・空手の道着少女はいいモノだ!ってのを再認識しました。

 
 まず柔道着の袖や腰回り、これが着たときにタポっと下がっていて萌えます。

 それに、同じタポっと感はありつつ割と薄手に出来ている下衣*2も、この薄さが、かさの大きな上着とのギャップでさらに萌え。

 ついでに下衣を締めるヒモの細さもイイ…ちょうど白ぱんつにワンポイントあるリボンのような様式美です。
 


 さらにスミヤ先生は道着は途中で全て脱がしつつも、ハチマキだけはほどかず、しっかり描いてくれているところがわかっていらはる!


 ハチマキといえばスポーツ選手や応援団、はたまた大工や和太鼓奏者といった人達が着ける、健全・快活なイメージ。
 おおよそ「性」や「快楽」とは正反対の意匠なわけです。
 
 そんなハチマキを着けつつ、しかし性的に描かれる少女の姿。こういった事もタブーな感じで燃えますよ!

 もちろんこれは、修行によって精神の鍛錬を目指す「道」の志が宿る柔道着というコスチュームにも同様で、本来の闘う場面においても、こういったヤラしい場面においても、最高の組み合わせですね。*3

 
 こういった変態的な視点で見てもかなりツボですが、まったく違うベクトルで注目すべき点がもうひとつ。
 それは、少女の側に立って繊細に語られる、彼女の感情描写です。


 普段は男勝りとも言える少女が初めて体感する、性的な接触や、青年が抱いている自分への思い。
 上手く掴み取れないそれらを、自分がよく知っている柔道と照らしてみて、感じ取ろうとする少女の姿。

 そういった感情を少女ならではの言葉で繊細に語る、スミヤ先生ならではのセンスが発揮されています。

 さきに書いたハチマキ・柔道着の最高コンボで、なおかつそれを身に着けるのは「健全・快活」なイメージをそのまま表したようなスポーツ少女。

 そんな彼女があられもない姿になり、かつ「初めての体験」に戸惑いながらも、そこに確かな幸せを見つける…


 この「健全」・「エロス」・「清純」の運び!
 「スポーツ少女」というジャンルのエロマンガとして、レベルが高いなぁと思います。


※この作品の後日談なイラストをスミヤ先生がLO掲示板に投下してました!

 さりげなくアドバイスしたばっかりに…お姉ちゃんかわいそうです(´;ω;`) ブワッ 。

 





うさくん 「マコちゃん絵日記」

 今回のマコちゃん絵日記は、マコちゃん・多美ちゃん・聖羅ちゃんたちとそのお父さん達との、父の日のお話。

 マコちゃんのお父さんは出てくる度に精神をズタズタにされる感じでよく登場していましたが、多美ちゃんと聖羅ちゃんのお父さんのエピソードはこれが初めて。


 しかしタイトル横のカットのお父さんズがカッコよすぎるww


 一人は明らかに「貴様見ているなッ!」って感じだしw
 流石「衣装ポーカー」なんて離れ業な荒木飛呂彦パロディなタイトルの作品を描くうさくん先生だけあって、ポーズ完璧すぎ。

 しかもこの人の「三つ目の光」が思わぬ伏線(?)だったりするからうさくんすげー。

 
 なんてそんなカットとは全く違って。

 今回はこれまでにも度々描かれていた「家族愛」とは少し違う、どっちかっていうと「親子愛」なイイ話。
 とくに中心的に描かれる多美ちゃんの姿にはホロっときますね。


 モヤモヤと込み上がって来る、よく分かんないけどイヤな感情。

 多美ちゃんは普段しっかり者のお姉さんであるだけに、弟たちに当たったり、お母さん・お父さんに泣きついたり、そんな風にそのイヤな感情を思いっきり晴らしたりも出来ません。


 でもそこをちゃんと察して、優しい一言をかけてくれる多美パパさん。身体も心もでっけぇ人だぜ。

 また、こういったシーンの際に書かれるト書き。これがホントにいい味を出しているというか。


 親が子へ童話を読み聞かせるような、ゆっくりと、わかりやすくて、丁寧な語り口。

 それは「こども」ならではの複雑な感情を、直感的だけど確実に読者へ伝えます。


 こうやっていったん状況を整理するというか、多美ちゃんが思っている感情を読者にも思い起こさせたあと、それを如何に解きほぐすかを描くワケです。

 前段階に「整理」して読者の感情移入を促し、見事解決されるまでを小細工なしに描ききる。

 ここまで徹底されると、そりゃグッとくるモンすよ!


 あと何気に同じ画像の、「邪魔したのか―?」と聞かれて「し…、したかも!!」と否を認める弟達。
 後でちゃんと考えて悪い事をした!って自覚出来たコイツらもエラいぞー、と思うわけですよ。

 またこのやりとりはフキダシなしで書かれているわけですが、逆にフキダシに入れてキチンと喋らせると、逆にフォローくさくみえてしまうと思うんですよねー。

 あくまで「フキダシなし=サブストーリー」的に描写することで、外縁の話は外縁の話として、鼻に付かずキッチリフォローもされるところが細かく出来てるな、と。

 
 この多力・多助のシーンもそうだし、もちろん多美ちゃんが布団に入っちゃう行動とかも、それをなだめたくなるような視点で読んじゃうわけで。

 なんちゅーか、親バカのように「子供ってかわいいもんだな〜」なんて感じちゃいますw





 あと久々に、そして最終回の「もっちゃん」が読めてホント良かったです。


 それにしても、メガネを取った時のもっちゃんの破壊力がパネェ。


 いや、単にキャラクターの顔というだけで特別スゴイ描写がされてるわけではありませんよ?

 でもこれまでの数年に及ぶ長いスパンの連載で、すっかり「もっちゃん=地味な四角メガネ」になっているワケで…


 そこにきてエロい姿のメガネなしもっちゃんというのは、その数年の蓄積されたイメージによって、『メガネっ子がメガネを外したらかわいい』のキュンキュン度を数倍にも跳ね上げるわけですよ!
 

 そしてそのメガネを外すことは、もっちゃんの決意によるもの。

 しかし、そういったセリフは小さいコマでさらっと喋らせてしまっちゃう所が、いかにドラマチックの正反対を行く、のんびり日常エロスな「もっちゃん」という作品を表しているというか…


 とにかく今は、はやく発売予定の「もっちゃん」中心となる単行本で、いかにもっちゃんがえっちになっていったかを再確認したいですなーw

*1:野外プレイ&少女との性交

*2:ズボンのようなあれ

*3:そしてこんな事ぬかしてんのは最低な事なんだろうな!!