「ウラカン・ラナ」さんの同人誌で思い出した「7」のこと。
コミケから大分たって、買った本も大分読み終えましたー。
そんな戦利品の中でも、特に「このサークルさんにめぐり合えて良かったーっ!」と思うのがあったのでひとつ紹介を!
●ナムコPS2初期の秀作にして異色作?「7」
原作ジャンルは「7(セブン)〜モールモースの騎兵隊〜」。
- 出版社/メーカー: ナムコ
- 発売日: 2000/12/21
- メディア: Video Game
- 購入: 2人 クリック: 21回
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PS2が出始めた初期にナムコから発売されたRPGです。
パッケージの独特の絵柄が気になって、当時リアルタイムでプレイしてハマってました。
ゲーム全体の絵柄は暖かみを感じさせる陰影の濃いファンタジックなもので、様々な職種別のキャラクターも絵本に出てくるようなテイストで個性的です。
プレイしてても、影の落ちた背景や細かく動くオブジェクトが満載で、どんなシーンでも画面全体がホント絵本の1ページのよう。
考えてみれば、ここまでビジュアル的な面で自分の目が行ったRPGって他にないかも…
美麗で豪華だけどどれも似たり寄ったりな3DCGやムービーより、こういった方向性を目指したスタッフのセンスすげぇ。
そして絵柄だけでなく戦闘システムも、RPGとはいえまったく独特です。
「ローテーションバトル」という他に例を見ない戦闘システムで、敵の情報を戦闘前にあらかじめ知らされ、その相手に勝てるパーティと陣形を限りあるキャラクターの中から考えることがほぼ戦闘の中心で…
と、文字で書いてもヤヤこしいので、ニコニコにあった解説コメントつきのプレイ動画を貼り付け。
(だいたい3:00あたりから解説つきで一連の戦闘が始まります)
この序盤だけでも少し複雑かも知れませんが、ゲームを進めていくと扱える職種(キャラクター)の種類も増えて、その分戦略の多様性も広がり、効果的な陣形の組み立てが求められていきます。
戦闘の数はそれほど多くないですが、勝てる陣形を「この職種はこうだからココにおいて…あー、でもそれだとこの仲間がすぐヤラれてしまう!」と悩む時間が長くなっていきますww
リアルタイムプレイ時もウンウン唸りながら、なんとかストーリー前編をクリアした記憶ががが。
ちょうど計算やパズルを解くような思考状態で、ここまでロジック的に頭を使ったRPGって、他には「シレン」くらいしかないかも?
人によって好き嫌いは分かれると思いますが、必死に考えた独自のロジックがうまく通用して、敵を倒したときの爽快感っといったらタマりません!
●「7」のあらゆることが汲み取られた同人マンガ
で、今回の夏コミの戦利品で特にその「セブン」の同人誌は良かった、という話でしたな!
件の同人誌というのが次の3冊。
全て「ウラカン・ラナ」というサークルさんで頒布されたもので、ホームページでも「セブン」のイラストやWebマンガもたくさん掲載されています。
ウラカン・ラナ
この3冊とも、あらゆる面での完成度の高さに驚き&感動しました!
これぞファンブックとしての同人誌というものだなぁ…と思います。
背景、特に建物や部屋の造形は原作ゲームの雰囲気そのままですし、キャラクターたちも原作のテイストを守りつつ可愛らしいエッセンスが加えられていて、上手くマンガとして読みやすい形にされているなぁというか。
またキャラクターが一人一人ちゃんと顔だけでなく等身や衣服のアレンジなどで描き分けられながら、一つのページに多彩なキャラクターが登場する画面構成もステキ。
多彩な種族が登場する、群像劇としての「セブン」の魅力が思い出されます。
そしてまた素晴らしいのが、各話のストーリー。
まず、ゲームではストーリー本編*1と言える「モールモースの騎兵隊」編と、前述の超やりこみモードといえる「アルメセラ年代記」編の二つがあり、
・「モールモースの騎兵隊」…主人公の見習い騎士が騎兵隊を組んで旅をするストーリー
・「アルメセラ年代記」…「モールモース」から続く騎兵隊を何世代にも渡って維持しながら1千年間魔物を討伐していくストーリー
となっています。
購入した3冊のなかで、2冊は「モールモース」を、2冊は「アルメセラ」を舞台に描かれているのですが、どちらもそれぞれの舞台ならではのストーリーが語られているんですね。
例えば、「モールモース」なら、騎兵隊の一行とその集団のなかで揺れ動くヒロインの隊長への思いと葛藤や、交流の浅い種族同士で起こる文化・価値観の相違、といった「集団」としてのテーマで、
「アルメセラ」なら、同じ職業を受け継いでいく師弟の姿や、「モールモース」で描かれた異種族間でのカップルの結婚後の生活が描かれたりと、重ねていく「歴史」をもとにしたテーマで…
という感じでしょうか。
「異種族・職業間の和解」とか「多様な人々が集う騎兵隊」、「千年と長きに渡って人々が営む歴史」…
リアルタイムのプレイ時の自分では気づかなかった、「7」の持つ深いテーマを、今この同人誌を読んで初めて気付くことが出来ました。
ゲームのなかのこういったテーマ性を読み取って、更に上質なマンガとして表現できる。
数えてみれば9年近く前の作品、作者さんの果てしない「7」愛には脱帽です。
今回の夏コミで初めて買うサークルさんだったので、立ち読みもそこそこに、とりあえず無作為に3冊だけしか買わなかったのが悔やまれる…こんなに良い本だとわかってたらもっと一気にたくさん買ったのにっ!
次の機会にはまた他の頒布されている本も買いたいと思います。
ていうか、この本やニコニコ動画のプレイ動画を見てたら、また久々にやりたくなってきたよ…「7」!
と思って色々調べてたら、このふと立ち上った欲求に答えてくれそうな情報を手に入れたのですが、それはまた別の記事で。