「マンガの社会学」
またも図書館で面白そうな本があったので、借りて読んで来たー
- 作者: 宮原浩二郎,荻野昌弘
- 出版社/メーカー: 世界思想社
- 発売日: 2001/11
- メディア: 単行本
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
社会学者、文学研究者、マンガ評論家が集まって、社会現象としてのマンガについて侃々諤々。オタクでもマニアでもないあなたへ贈る、ゼミ必携、卒論OK、楽しくってためになる、「マンガの社会学」誕生。内容(「MARC」データベースより)
マンガに関わりながら社会学的研究を進めようとする学生や研究者にむけた参考書。作品の表現内容を批評しながら社会学的研究に結びつける方法と、マンガの読まれ方を社会現象として研究する方法を、7編の論文で例示する。
とあるように、「マンガで社会を語る」ことの解説や実践を行うといった内容。
マンガ作品をとりあげるに際して作品論・作家論に向かうのではなく、あくまで「作品と時代」「作品と読者」といった関係を見つめ解説するという姿勢の文章の数々は、普段作品論やマンガ史的な「マンガの世界」を語るマンガ批評本を読んでいる自分としては結構新鮮でした。
また、「参考書」とか「ゼミ必携」という単語からなにやら堅苦しそうなイメージを持ってしまいそうですが
・複数の筆者による文章を章分けした構成になっている
・冒頭第1・2章で「マンガを社会学として」についての解説が成され、他に収録された論文を読み進めていく案内になっている。
・章と章の間のコラムや所々コマの引用がある
といった感じで緩急をつけやすく、読みやすい印象です。
特に自分が興味深かったのは少女マンガ雑誌を通して、その時代時代の「少女」について探っていくという論文。
「時代ごとの社会を語るに際しては、マンガ作品だけでなくそのマンガ雑誌そのものを見つめ直して語るのが望ましい」という論文の姿勢には納得。
なるほどマンガ単行本は「その作品」そのものとして比較的手に入りやすいものですが、マンガ雑誌というのはその時の流行を反映させる分、その時その時で「読み捨てられる」場合が普通ですしね。
この筆者の大学にはなんと少女マンガ雑誌を資料として収蔵しているらしく、こうやって現物をちゃんと見直して語ることが出来ることって、かなり貴重かもしれません。
筆者の紹介するその当時その当時の少女マンガ雑誌の内容は、そもそも男であり少女マンガ雑誌は手にとったことがない自分にとって全く知らなかった世界で、年齢は同じでも性別で読むもの・読みたいものはこんな風に違ったのかと驚き。
そしてそこから垣間見えるその時代ごとの「少女」の姿についての推察は、今現在の「少女」観と比較して当時の少女たちはどうあったのかを考えさせる刺激になりましたね。
自分自身大学生で、しかもこの本と同じような「社会学」関係を扱う学部に所属している身なので、そういった立場にしても学ぶ事の多い一冊でした。