コミックLO11月号感想

 
 今月号はとくに「使用率」が高かった良い号だったぜ…フヒヒ。
 えっあっ、いやなんでもありませんよ!
 というわけで今月号のLOの感想をば。
 
 
東山翔「The Garden of Earthly Delight」
 
 最近のLOで描かれた東山先生のいくつかの作品に登場した登場人物たちがクロスオーバーする形で、みんなで浜辺の別荘へ旅行に行くお話。
 クロスオーバーをエロマンガでやるっていう珍しい仕掛けと、それを活かした群像劇的な要素もあるストーリーが面白いです。
 
 まずエロシーンは今までの作品のメインキャラクターたちのカップルで描きつつ、この話の主役となるのは、クロスオーバーしているひとつの作品にサブキャラとして出てきていた、きこちゃんという女の子。
 登場作品できこちゃんは、友人たちのドギついエロトークに引き気味…という描写が少しあって、今回の話でもそんな彼女の価値観を通して話が進んでいきます。
 

 
 そして今回の話ではこのきこちゃんが、この話で登場する青年に恋心抱いたりするんですが、その一方で、親しい友人や他の作品のカップルが隠れて乱れている様子を次々と目撃しちゃうんですね。
 
 最後には、12歳少女と3人の高校生との乱交まで目撃してしまう。
 そんな光景を見た彼女は、涙を溜めてポツリと疑問の言葉を囁きます。
 

 
 少女があられもない姿でセックスに興じる光景を見た、同じ年齢の別の少女が震えながら吐露した「おかしいよ……」という至極「正しい」倫理観の吐露。
 
 少女への性交渉なんてもってのほか、というのは当然の常識ですが、それを目を瞑ったファンタジーを描く事もあるロリエロマンガでは、それらのタブーを一切すっ飛ばすこともヒジョーに日常茶飯事。
 例えば「エッチな少女がい〜っぱい!」なファンタジーも描くこのメディアに自分もどっぷり浸かっているわけで、なによりこの作品の中でもそのファンタジーがハッキリ描かれています。
 
 そしてこの話のラスト、読者として少女との乱交シーンというファンタジーを楽しんで…、でもその余韻も醒めぬ直後に「おかしい」という至極当然な倫理感を、ファンタジーに描かれていた少女と同じ年齢の少女からイキナリぶつけられるワケです。
 …このシーンはホント、読んでいて冷や水をかけられたようにハッと理性や常識が戻ってくるような感じでした。
 
 ファンタジーが現に展開されてもいる作品の中で、一方そんなのおかしいと涙ぐむ少女…
 こんなに印象的な形で引っ張られちゃー、このお話がこのあとどう展開していくか気になっちゃうよそりゃ。
 (でも次号予告に東山先生の名前はなし…あぁん!)
 
 
MOLOKONOMI「海でふたりパラソルの下で」
 
 誰もいないビーチで遊んでいる少女と中年男性が、パラソルの下でオイル塗りに興じてそのまま…なお話。
 会話が一切描かれないサイレント形式という変わった趣向で描かれる作品で、聞こえるのはオイルその他の水っぽい音と、少女の吐息、そして波の音くらい。
 
 この作品で面白いなと思ったところは、このサイレント形式でまず表れてくる「静けさ」を絵でも追求してるところ。
 熱い陽射しをパラソルの影で防いでる、というその場が少し暗くなる場面状況のため、少女の全身が描かれるコマは全体的にトーンをのせているんですね。
 

(PCだと少し明るすぎてわかりずらいかも?上コマで描かれる少女の身体のトーン部分の違いを目安に)
 
 こういったコマがいくつかあるページを見た時、全体の明るさが一段階暗くなっているように見え、描かれている情景の「静けさ」がより感じられるんだと思います。
 サイレント形式という手法がまずその「静けさ」を醸し出すワケですが、もうひとつ絵作りのテクニックでもそういった雰囲気が演出されているのが上手いなぁと。
 
 ただ、いよいよ愛撫や本番のシーンになると、逆にそういったトーンの使い方はほぼなくなります。
 そこは「静寂という場の雰囲気」を添えて描くか、少女の身体をちゃんと見た時の「興奮」を中心に描くか、の使い分けなんだろうなと思います。
 

 
 で、そんな静けさが適度に演出されたあとで描かれる、ネットリ濃厚なオイル塗り+愛撫のまた官能的な事!
 なにより少女の滑らかな肌に重なる、中年男性の色黒でゴツゴツした手とオイルの粘着感。このギャップがまた背徳的な香りも漂ってきてイイ感じです。
 
 MOLOKONOMI先生は男性役に良く中年男性を登場させていると思うんですが、この作品のような展開だと中年×少女という取り合わせがいっそう引き立つというか…とにもかくにもMOLO先生の中年男性描写すげぇ。
 
 
●さらだ「その日から」
 
 父の再婚で妹が出来た青年が、彼女の「秘密の過去」を知り、これをネタにセックスを強要しようとするが…なお話。
 ムダな肉の無いスリムな少女の肉体がとてもリアルで、少しシリアスなシナリオにもピッタリハマってますね。
 それこそ手で触れた時の質感まで伝わってきそうです。
 

 例えばこのコマとか。足全体の内側の筋肉のスジや浮き方まで捉えて描かれているように思えます。
 う〜ん、これが明日のリアル。*1
 
 また、個人的にツボなのがストーリーの展開。
 青年も少女も、新しい家庭でお互い平凡な日常を始められたハズなのに、過去の秘密が記録された裏ビデオを入手したことでその日常がバチっと変わってしまう…そんな運命のいたずらや「日常」のモロさを感じさせるところが…っていうんでしょうかw
 
 ここで大事なのは、兄の方がネタを握ってセックスを強要しておきながら、経験豊富な少女*2圧倒的に優位に立ち回って童貞である兄をリードし続けるところですよ。
 
 妹に迫り寄るものの、ゆすられたハズの当人は泣き拒むどころかノリノリ。まして彼女が出してくる魅力的な提案に喜んで従ってしまう兄の情けなさったら…!
 少女から攻められたい属性な人にはたまらない展開。
 

(青年の「あ”――」ってうめきが、ホントなっさけなくて感情移入しまくりorz)
 
 そして最終的には、両人ともセックスを楽しんでいて、そんな日々がこれからも続く…というところで作品が終わります。
 少女をユスったことでそれまでの日常から変わってしまった事は間違いないのに、その関係は異常でありながらその以前と同じくらい両者とも充実していて、なんだよかったじゃん、と思ってしまいそうなものに。
 
 ふつう男性が少女を襲ったら、そこからは少女にとって暗い日々が始まるハズ。なのに、この両者の前向きな感覚って…。
 ここらへんの、目の前に広がっている情景と一般常識とのズレっぷりが、なんかキてる感じすらして面白いです。
 
 うまく言えんのですが、こういう読感ってのは、やっぱりロリエロマンガのようなアブノーマルなジャンルでしか味わえないんだろうなと思ったり。
 
 
うさくん「マコちゃん絵日記」
 
 毎号お馴染み流浪の番組タモリ倶楽部でござ(ryマコちゃん絵日記です。
 今回はマコちゃんと、お兄ちゃんの繁くんとの兄妹物語。兄と妹の話だけど、決して他の掲載作のようにエロくないよ!

 …てかなにこれ、うさくんすげーハートフルじゃん!どんだけ読者ほっこりさせんの!?
 って位今回の話は心あったかくなりましたね〜。
 
 それにしても子持ち家族の描写がホントに上手いんですようさくん先生。
 特に「あるあるw」と思ってしまうのが、お母さんの「怒りのレベル」の違いが描かれるところ。
 

 
 いわゆるお母さんの「こらっ、やめときなさい!」を無視した末の「やめなさいッ!!」への過程を、これほど具体的でわかりやすく解説してくれる例は他にないんじゃないかしらw
 
 んで、そんなこんなでマコちゃんは反省し、兄妹が仲直りするまでの過程がほほえましく描かれていきます。
 くぅ、なんてあったかい家族なんだろう…あぁほっこり。
 反省や感謝はちゃんとしてるんだけど、少しやり過ぎてしまうマコちゃんもまた可愛いww
 
 むっふぅー…こういうトキメキってのが妹属性っていうんでしょうか!?…だとしたらマコちゃんにもちゃんと「妹属性」あったんだな!なんかすっげぇ意外!
 
 



 
 読み返してみると、今号は兄妹や親子といった関係の話が全体的に多かった印象。
 それがあってか、これがあってか、今号の表紙もスナップ写真風にデザインされたたかみち先生の少女のイラストと「妹とふたり、家まで歩いたキスをした」というキャッチコピーです。
 
 そういえば各所LOレビューサイトでも言われていましたが、毎号の表紙イラストに描かれる少女を見る視点は、毎号その場と同じ空間にいる少女を見ている感じ*3でしたが、今回は大きくイラストの使い方や視点がいつもと違いますね…
 マンガだと東山先生やMOLOKONOMI先生の変わった仕掛けの作品もあります。
 
 そんなわけで、今号は色んな意味で「いつもと少し違う」感じが漂うLOでしたね。
 …ハッ!?まさか先月号予告の『編集さえ予測できない衝撃の展開が!?』はこれらを意味するものだったのかッ!?

*1:ケータイ捜査官7未見なんスねー、面白いって聞くからまとめて見たい

*2:リアルな絵柄でこういった設定なところが、どこか狂っててグロテスクかつ魅力的っていうか

*3:その主がうさぎだったりすることもありますが